知り合いにプロ野球選手が2人います。
それもどちらもバリバリの球界を代表をする選手です。
どちらも中学時代に一緒に野球をやっていました。
1人は中学時代から大柄な体格で化物といわれていました。
もう1人は9番セカンドのヒョロヒョロのもやしのような選手でした。
化物がプロ野球選手になったと聞いたとき、僕は素直に納得しました。
彼のような人がプロ野球選手になっていくんだろうな、と。
しかし、もう1人のもやしもプロ野球選手になったと聞いたとき、僕は衝撃を受けました。
中学時代、なんなら僕の方がうまかったというようなレベルだったからです。
しかも今では、「化物」よりも「もやし」の方が活躍しています。
プロスポーツ選手になるのは、体格・センスを始めとした才能ある数少ない選ばれた人間だと思っていました。
僕は「もやし」がプロ野球で活躍している姿を見て、それが間違っていたことがわかりました。
そしてこの本を読んで、その原因が分かったのです。
著者
キャロル・S・ドゥエック
スタンフォード大学心理学教授。
人間の思考様式への関心は30年来で、モチベーション、人間関係、メンタルヘルスに関する研究で大きな業績を上げてきた。
本書の目的
・人生を支配しているマインドセットについて説明し、それを生活に役立てる方法を理解すること
・2つのマインドセットとそれが生み出す世界を描き出し、どちらの世界に住みたいかを考えてもらうこと
マインドセットとは
この本では、2つのマインドセット(心の持ち方)があるとしています。
・硬直マインドセット
・しなやかマインドセット
です。
硬直マインドセットとは、
「自分の能力は石版に刻まれたように固定的で変わらないと信じている人」
しなやかマインドセットとは、
「人間の基本的資質は努力次第で伸ばすことができる」
心も持ち方のことを指しています。
2つのマインドセット
これらは、どちらが正しいとか正しくないとかそういうことではありません。
どちらの心の持ち方を自分が選択するかなのです。
そして、著者はそれによって、人生が大きく変わると述べています。
マインドセットでこんなに違う
硬直マインドセットの持ち主の考え方
硬直マインドセットの考え方の人は、能力を天賦のもの考えています。
そのため、何か課題や仕事が与えられた際に
「自分の有能さを証明しなければならない」
と考えます。
なぜなら、こう言った1回限りの評価の機会であってもそのことで、自分の価値が永遠に決まってしまうと考えるからです。
そして、成功している人間を、人より優れている者と考えます。
また、失敗などをした時には、それを誰かのせいや何かのせいにします。
そうしなければ自分の価値がどんどんと下がっていくからです。
しなやかマインドセットの持ち主の考え方
しなやかマインドセットの持ち主は、自分の能力はいくらでも努力次第で伸ばすことができると考えています。
そのため、1度の評価の機会に一喜一憂することはなく、失敗をしたとしてもその失敗を糧にすることができます。
失敗を何かのせいにしない限り、その人は失敗者ではない
という考えができるため、何かがうまくいかなくなった時に粘り強い行動をとることができます。
大切なこと
この本には、多くの具体例が出てきます。
硬直マインドセットを持った人が、才能を持ちながらも努力ができなくてうまく才能を生かしきれなかった例。
しなやかマインドセットを持った人が、挫折を繰り返しながら最終的には偉業を成し遂げる例。
これらは詳しくは本書を読んでみてください。
いずれにしても大切なことは、
自分がどちらのマインドセットを信じるか
ということです。
この本を読んで感じたこと
僕はこの本を読んで、3つのことを感じました。
挫折・失敗したときに自分を責める必要はない
この本を読んで、一番最初に頭に浮かんだのが孔子の言葉でした。
最大の名誉とは、倒れない事ではない
倒れても倒れても、起き上がる事である
孔子
どうしても失敗したときって自分の能力のなさを責めてしまいますよね。
適度に責めるのはいいと思うんですが、自分の人格までをも否定する必要はないということを教えてもらいました。
「失敗は成功のもと」などと、口で言うのは簡単ですが、心からそう思えるような自分に早く成長しなければならないと感じました。
子供への接し方も気をつけないといけない
硬直マインドセットを形作る子供への接し方ということについても言及されていました。
私も3歳の娘がいますので、これを読んでいてとても反省しました。
要は、褒め方に気を付けるということです。
結果を褒めず、過程を褒めてあげなければいけません
結果を褒めてしまうと、次により難しいものに出会ったときに結果が出なかったとき、子供は褒めてもらえないと思ってしまい、「自分にできること」をひたすらやり続ける典型的な硬直マインドセットになってしまうのです。
結果はどうでもよく、「よく頑張った」という過程を褒めてあげることで、失敗にもめげない、しなやかマインドセットを持った子供になると書いてあり、すぐさま実践しようと決意をいたしました。
やってみるとなかなか難しいですが、これからも意識して行っていきたいです。
本当のことはどうでもいい、自分の意志が自分の人生を決める
この本では、「あなたはどちらのマインドセットを選択しますか」という書き方になっています。
スポーツ選手は才能ある人間にしかなれない。そう思う人はそれでもいいのです。
本当のことは誰にもわからないからです。
でも、どちらのマインドセットを持つことが自分にとって良いのかと自分で選択するというところに、どこかこの本の押し付けがましくなさ、説得力が増している要因があるのかなと感じました。
まとめ
いかがだったでしょか。
冒頭で話した「もやし」もきっとしなやかマインドセットの持ち主だったのだと思います。
中学時代の野球の能力でなんてプロ野球で通用するかどうかに何の影響もないのです。
大切なのは、そこから自分がどれだけ努力ができたかということだったんじゃないかなと思います。
僕は中学時代に周りのすごい選手に圧倒されて、「自分には無理だ」と硬直マインドセットが原因で諦めてしまいました。
今になってみれば、僕ももっと努力ができていればもっと野球が上達していたのじゃないかと思っています。
今だからいくらでも言えますが。
でもこれからは、こういう後悔をしたくないなと思いました。
そして、こうも思いました。
死ぬ前に「自分は可能性の限りを尽くした」と言って死んでいきたい
努力していないことを失敗の言い訳にせず、全力で人生を生きていきたいな。
そんなことが思えた良書でした。
皆さんもぜひお手に取ってみてください。
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