「書けば、人生なんか、ある日、パッと変わるんや」
p261
この本は、書くことによって人生が変わる。そんな実体験をした著者が書いた文章術の本である。
自分で考えたこと、感じたことを文章にしてみたいと思ったことのある人は意外に多いのではないでしょうか。
でも、そう思っても実際に書いてみるとうまく書けなかったり、そもそも何を書いたらいいのかがわからなくなったり、書いても誰からもみられることがなくて続けられなかったり。
そう思ったことはありませんか。
私は大いにあります。だからこの本を見た瞬間に即買いしました。
この本が一貫して伝えているのは
読みたいことを、書けばいい
ということです。
タイトルそのままですね笑。じゃあタイトルだけでいいじゃんって思ったそこのあなた。
この本はそれだけじゃないんです。
まずは著者の紹介からしますね。
著者
田中 泰延(1969年大阪生まれ)
早稲田大学卒業後、電通に入社
24年間コピーライターとして活動したのち、インターネット上で執筆活動を開始
「田中泰延のエンタメ新党」、「ひろのぶ雑記」が累計330万PVの人気コラムになる
本書は著者の初の著書
読んだ感想
まず、非常に読みやすいです。
著者の紹介で掲載したエンタメ新党などを見ていただいたら分かるとおり、コミカルな文体で、堅苦しくもなく、ユーモアラスな本になっています。
また、文章術向上のための○○のステップなどといったいわゆるハウツー本ではなく、文章を書くにあたっての心構えを教えてくれる本です。
心構えと言っても、構えるのではなく、構えなくてもいいという心構えです。
例えば
読み手など想定して書かなくていい。その文章を最初に読むのは間違いなく自分だ。自分で読んで面白くなければ、書くこと自体無駄になる。
p99
など、常に自分の基準で面白いかどうかを判断しなさいと書いてあります。僕は非常に勇気づけられました。
誰かに褒めてもらおうとして書いた文章はやっぱりどこか他人行儀でつまらない。
自分が面白いと思える書き方で書けばいいんだと背中を押してくれたんです。
一番印象に残った部分
この本は、何を書くのかだけでなく、なぜ書くのかも教えてくれます。
「書くことは生き方の問題である」という章にこのようなことが書いてあります。
我々が人間への尊敬や愛情や共感を心に刻むのは、実に相互の孤独の中においてである。書くこと、そして読むことは、その相互の孤独を知り、世界への尊敬や愛情や共感をただの一回の人生で自分のものにすることなのだ。
p247
自分のために書いたものが、誰かの目に触れて、その人とつながる。孤独な人生の中で、誰かとめぐりあうこと以上の奇跡なんてないと私は思う。
p248
これを読んで、本を読んでいる理由や、僕が書きたいと思っていた理由がハッキリとしました。
思い出したのは小学校の時に、友達1人もいなかったんですが、その時に読んだ詩に
「寝るときは寝たくないのに、起きるときはまだ寝ていたいのは何でだろう(北海道小2)」
というのがありました。
僕はこれを読んだ瞬間、「僕も全く同じことを思った!」と思って、これを書いた遠く離れた北海道に友達ができたように思いました。
この感覚なんだな。読むこと・書くことの快感は。
この本は、文章を書くという文章術にとどまらない、生き方を教えてくれる本でした。
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