【書評・レビュー】『プロカウンセラーの聞く技術』人間関係を改善する最良の本だった

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ビジネス本

「何で私が否定されなきゃいけないの?」

僕が妻から言われた言葉です。

妻の愚痴を聞いていて、僕が愚痴を言われている相手を擁護する発言をした時でした。

「もう愚痴も言えないじゃん」

なんて言われて、申し訳ないなと思ってその足で書店に行ってこの本を購入しました。

この本、

めちゃくちゃいいです!

本当にお勧めします。

この本を購入して、妻の愚痴を聞くようになってからは本当に夫婦関係が良くなりました。

僕の中でもその愚痴に辟易することなくうまく聴けていて、むしろ話してくれることが嬉しいです。

この記事で、この本の魅力に迫りたいと思います。

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著者

東山紘久さんという方で、京都大学の名誉教授であり、臨床心理学を専攻されています。

心理学とは、「なぜそのような言動をとるのか」など、人間の心を研究する学問ですが、その中でも臨床心理学とは、目の前のその人がなぜそのような言動をとるのかと言った、より実践的な心理学です。

著者の東山さんは実際にカウンセラーとして長年活動されており、本書にはその実際のやりとりのエッセンスが散りばめられています。

この本の目的

日常的な人間関係改善のために聞き上手になること

なぜ聞き上手になると人間関係が改善するのか

人とコミュニケーションをうまく取ろうと思った時に、話がうまくなりたいと思いませんか。

でも、この本では、人間関係改善には「聞く」ことが大切だと説いています。

人間関係は相手を理解し、自分を理解してもらう「相互理解」から成り立っています。

ただ、相手を理解するにはこちらが話すだけではできません。聞くことからしか生まれないのです。

ですが、「話し方教室」や、「スピーチの仕方」などの本や研修が溢れているのに、聞き方に関しては教室も出版物もあまり見かけません。

また、著者はこうも述べています。

多くの日常生活場面、例えばテレビトーク、講義や講演では、話し手は一生懸命なのに、聞き手は寝ていても良いことさえあります。これが聞く技術が進歩しない理由です。だからこのような日常的な聞き方に慣れていますと、聞くことが相手との関係を破壊してしまうような場合でも聞く技術の獲得が行われていないので、相手とのコミュニケーションに失敗してしまいます。

『プロカウンセラーの聞く技術』

また、故事などにも「言葉多きは品少なし」とあったり、また仏像の耳が大きいのは聞くことを大切にしていたからだと本書は指摘しています。

「聞く」というのは、昔の人も大切に思っていたということですね。

聞き上手になるには

本書には31の項目で、聞き上手になるためのアドバイスが書いてありますが、その中から私が感銘を受けたものをいくつか紹介させていただきます。

避雷針になる

悪口は精神の浄化作用なのです。自分と関係させずに言ったり、聞いたりできると、自然の浄化作用が働きます。

と、著者は愚痴、悪口は言うと心がすっきりするんだと言っています。

「愚痴など言っていたって物事は解決しませんよ」などとは絶対に言ってはいけません。

でも、言われる側はどうでしょうか。聞くのってなかなかしんどかったりしますよね。

その聞いた愚痴を自分の中にため込んでしまえば自分が壊れてしまいそうです。

そこでどうすれば良いかというと、

愚痴の聞き方は避雷針と同じです。自分に愚痴を積極的に落としてもらうのです。そして自分の心の中にため込まず、そのまま地中へと吸収させるのです。

と言っています。

うわべだけで聞くということではありません。

自分自身の気持ちとその愚痴を関係させないことです。

話し手がそう思っているという感情を受け止めるだけで、自分自身に関係のある問題として捉えたり、愚痴の対象者をかばったりはしないということですね。

そして、すぐに愚痴の内容を忘れるといいです。

自分のことは話さない

人は話を聞くより話をする方が好きなものです。

だから、聞き手になっていると、つい自分の体験などからアドバイスをしてしまいがちになります。

でも、このアドバイスがほとんど意味がないのだと言っています。

理由は2つです。

・自分の考えは自分にしか適用できないことが多い

・話し手は何か言って欲しいのではなく、親身になって関与して欲しいと思っている

 

耳が痛いですね。ついつい、アドバイスをしたくなりますよね。

でも、人のアドバイスってなかなか耳に入らないというか、そうじゃないんだよなんて思ってしまうのも事実です。

ではどうすれば良いのでしょうか。

カウンセラーは相手の話を聞くことによって、話し手自らが洞察を得るようにしているのです。

言い換えるなら、カウンセラーは相手の心を写す鏡になるように訓練されます。

聞き手の意見はいらないんですね。

話している人が自分で何かに気づく、確かにそれが一番自分ですんなり納得できるかもしれませんね。

共感とは芝居上手

衝撃的なタイトルですよね。

「私は共感して欲しいだけなの」なんてよく耳にしますが、「共感は芝居」とカウンセラーの人が言うのかと言う衝撃がありました。

聞き手に必要な態度の一つに「共感性」があります。共感性とは、相手が感じているように感じることです。自分の心が相手の心と同じ場に立つことです。

共感性は聞き手にとって絶対必要な要件なのです

では、どのように共感したら良いのでしょうか。

東山さんは、共感はするけど共感しすぎないことと言っています。

いわゆる芝居の舞台に出て、役になりきる俳優さんと同じだと。

聞き手は、舞台上では話し手の話に共感するが、舞台を降りたら共感を辞める。

役が降りてくるタイプの俳優さんと同じような話の聞き方が必要だと言っています。

 

難しいですね。演技というと相手に失礼な感じがしますが、

その時は本当に共感し、話が終わったら元の自分に戻ると言う感じでしょうか。

これには幾らかの訓練が必要ですね。

まとめ

いかがだったでしょうか。

聞くと言うのは、ある程度の訓練が必要なものなんですね。

でも、人の話を聞ける、愚痴を聞いてあげれるような人になると絶対に人間関係は改善します。

ひたすらに愚痴を聞き続けるだけもしんどいですから、こう言ったテクニックを少しでも学んで、仕事や家庭に活かせていけたらいいですね。

そのほかにも示唆に富むお話がたくさんありましたので、ぜひ興味がありましたら読んでみてください。

 

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