本とのつきあいがうまく行くには、読者はいくらか寂しいのが良いようだ。
どこか心に満ち足りないものを感じているときにしみじみとした本との交流が起こる。
病床がしばしば実り多き読書の場になるのは偶然ではあるまい
この本を読んで一番に思ったのは、読書の意義でした。
冒頭で引用したように、自分が幸せな時よりも不幸な時の方が読書が実りやすいというのは実感としてはなんとなくわかっていましたが、こう誰かに言ってもらえると本当によかったと感じました。
著者は、読書についてこうも述べています。
わかることはわかる。わからないことはわからない。
これでは読むことはまことにあわれな作業になる。
読書が人間形成に不可欠であるのは、知らないことを自分のものにすることができるからではないか。
この本では、私が自分自身ではできなかった考え方がたくさん紹介されていました。
まさに、「やわらかく、考える」ということで、自分の中でこうだと決まっていた考え方をとき解してもらえたような感覚になりました。
著者
外山滋比古(お茶の水女子大学名誉教授)
東大・京大で一番読まれている本である『思考の整理学』の著者
この本の目的
柔軟に物事を見るヒントを紹介
印象に残った箇所
余裕のあるアタマを作る
情報化時代などと言って過剰な知識を頭に詰め込めば、頭は困惑します。睡眠では十分に不要な情報を始末できなくて、持ち越すことになり、それが、いずれは知的不活発、思考停止の状態になりかねません。
(略)
よく忘れ、よく考えるのが、これからの頭です。
著者は、知識は詰め込みすぎるなと言っています。知れば知るほど、バカになる、と。
ですので、常に知識を記録はするが、忘却に晒していくということを勧めています。
そして、使える知識だけを頭に残す。いわば選択的忘却です。
これを読んで、ドラゴンボールの主題歌「CHARAーHEADーCHARA」の
「頭空っぽの方が、夢詰め込める〜♪」
という詩を思い出しました
情報が溢れているこの社会で、情報に押しつぶされないように情報をどんどんと忘れていかないといけないんですね。
そして、余裕ができたアタマに夢を詰め込みましょう。
わからないことは放っておけ
ささやかな読書歴をふり返ってみても、本当に影響を受けたと思うのは、たいてい、はじめはよくわからなかった本である。
わかれば安心してすぐ忘れる。
わからぬからいつまでも心にかかって忘れない。反芻しているうちに、だんだん心の深部に達するようになるのである。
僕は音楽とかよく聞くので、これすごく納得しました。
よくわからない歌詞って、いろんな解釈があったり、何回聴いても新鮮だったり、聞いている人の心の持ち方でも曲調が変わったりとほんとに魅力が色あせないんですよね。
わからないものって、はじめはすごくしんどいですが、すぐに理解できるものなどを見聞きしても心には残らないってとっても説得力がありました。
これから読書するにおいても、自分に理解できそうな1歩先の本を読んでいきたいなと思いました。
自由自在に生きるコツ
読書とは変身である。
われわれは何か思い屈すると本を読む。世の中が面白くて仕方がないようなときには、読書らしい読書をすることはすくない。
活字を読むという営みには、読者にとっても、自己に新しいマスクをかけることになるであろう。変身である。
救われました。
僕がこのブログを開設したのも、僕がしんどいとき(8割方そんな日々です)に本に救いを求めて読書していましたので、そんな自分を肯定してくれているような気がしました。
僕は「悲しいこと✖️読書」でどんどんと変身・進化をしていっているんだと思えると、なんだか辛い日常も前向きに捉えることができる気がします。
ありがとう、外山さん。
この本を読んで感じたこと
常識とは思考停止である
自分が今まで当たり前に思っていたことを大きく覆してくれました。
特に僕がネガティブに捉えていた、「忘却」、「辛い日々」などの捉え方を大きく変えてくれました。
装丁に惹かれて買いましたが、とっても前向きになれる、そんな本でした。
また、この本では、外国語を勉強することを真の効用(ただ単に異国の方とコミュニケーションをとるということだけではない)を教えてくれました。
僕は、今英語の勉強に励んでいますが、その勉強のモチベーションをも激烈に上げてくれました。
本当にありがとう、外山さん。
まとめ
いかがだったでしょうか。
この本を読み終わった後の僕の気持ちは、この本の装丁のキャラクターと同じようにのんびりと楽観的な気持ちになれた気がします。
1ページが概ね5〜6行ととっても読みやすい構成となっていますので、ぜひお手にとってみてください。
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